廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「ルキア様は……お芝居の巫女と同じ赤い髪なのですね」

「はい」

「失礼ですが、御両親どちらかが同じ色で?」

「お母様……母が赤い髪でした」

アレストはじっと私を凝視した。
巫女と同じ赤い髪なのは、お母様が東の方の生まれだから。
お母様は生まれや生い立ちについて、多くを語らなかった。
必要以上に自分についての話を避けていたように思う。

「もういいか?私は暇ではない」

アレストと私の会話をダリオンが遮った。
彼は珍しく不機嫌そうである。

「ダリオン!あなた、その言い方は失礼ですよ?」

「いえいえ、カトレア様。お忙しい中、無理を言った私が悪いのです」

アレストは柔らかな笑みを浮かべた。
しかし次の瞬間、ダリオンに向き直り、とんでもないことを言ったのである。

「お手間をとらせて申し訳ありません。しかし、最後に一つお伺いしたいのです……この度ルキア様とご婚約されたそうですが、ダリオン様は、ひょっとして『そういった』ご趣向の方ですか?」

「そ……そういった……趣向……?どういう意味だ?」

真顔で問い返すダリオン。
素敵な笑顔のアレスト。
二人の真横で、私とおばあ様は唖然とした。
アレストの今の言葉を砕けた感じに訳すと「お前、ロリコンかよ」である。
もっとわかりやすく説明すると「七歳の女の子と婚約するなんて、変態じゃないか?」と……まぁこれは言い過ぎだけど、概ねそんな嫌みを言ったのである。
貴族社会では言葉を濁し「そういった趣向」とか言うのだけど、人付き合いの悪いダリオンは知らなかったようだ。
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