廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「あー……いえ、もう結構。思いがけず素直な方のようで安心しました」

アレストは目を細めた。

「勝手に納得するな。説明してくれ」

「あとで誰かにお聞き下さい」

静かに笑みを浮かべるアレストは、不機嫌MAXなダリオンにも怯まない。
誰もが恐れる大英雄に、ここまで太刀打ち出来るのは、おばあ様以外に知らないわ。

「本当にもう困った人たちね。初対面でケンカするなんて。呆れるわ」

おばあ様は肩を竦めた。

「いえ、そんなつもりは全く。私は単なる疑問を口にしただけです。しかし、少し大人げなかったと反省しております」

アレストは照れたように頭をかいた。
そんな様子がなんだか微笑ましい。
表情にあまり出ないダリオンとは対照的に、アレストはくるくると表情を変える。
劇団の座長なのだから、自身も役者なのだろうけど、醸し出す雰囲気はただ者じゃない。

「そうね、両者とも大人げなかったわ、反省しなさい。さて、私たちはこの辺で失礼しましょう……あ、そうそう。公演はいつまでかしら?」

「アルカディア劇団は暫くルミナリエスに滞在致します。毎日上演しておりますので、是非またお越し下さい」

「ええ。また期間中に来るわ」

そして、私たちは応接室を後にした。
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