廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
私とエレナは、ロビーに備え付けられたソファーに座り待つことにした。
閑散としたロビーは寂しげで、先程の喧騒が嘘のようだ。
静寂に響く柱時計の音。
天窓から射し込む日差しのなかに舞う埃。
ああ、そうだったわ。
私、昔もこの雰囲気が好きだった。
懐かしさに目を閉じると、どこからか足音が響いて来た。
隣でエレナが身構えるのを感じる。
その足音はまっすぐにこちらへ向かって来て、私の前で止まった。

「お待たせしました」

低い声がして目を開ける。
そこには、座長アレストがいて、にっこりと微笑んでいた。

「いいえ。こちらこそ事前に連絡もせず申し訳ありません。お忙しくはありませんでしたか?」

「大丈夫ですよ。どんな用事もあなたのためなら後回しです」

そんな女性を口説くような台詞がさらっと出てくるなんて……。
しかも、私のような子どもにもそのサービスを忘れない。
ダリオンとはタイプが真逆だけれど、間違いなくアレストも、モテる部類の男性だと感じた。
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