廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「さぁ、ここに座ってください」

アレストが用意してくれた椅子に座り、暫くすると開演のベルが鳴った。
緞帳が上がり、照明が舞台を照らすと、私は一気に集中モードに入る。
一度見ていても、二度目に見るとまた新しい発見がある。
それは、観劇において誰もが感じることだと思う。
二度目の「王子と赤い髪の巫女」がまさにそれで、前回気づかなかったものが次々と見えてきた。

「どうでしたか?得るものはありましたか?」

お芝居が終わると、アレストが言った。

「はい。とても……でも、何度見ても悲しいですね。どこかに救いがないものか、と考えてしまいます」

「……救い……ですか……」

アレストの声色が変わった。
表情もどこか悲しそうだ。
豪快で豪胆なアレストがこんな顔をするなんて、ちょっと意外である。

「この話には続きがあるのですよ」

「続き……?あ、もしかして救いのある結末が?」

「……何をもって救いとするのか……それは人それぞれなのですが。聞きますか?」

真剣な目で問いかけるアレストに、考えるまでもなく頷き返す。
まるで、何かがそうさせたように、自然に首を縦に振っていたのだ。
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