廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「特別仲が良いわけではないわ。普通よ。たまにお茶を飲んだりする程度だもの」

「お茶を……そうですか」

「ええ。だって、母国を滅ぼした国の王太子に嫁ぐなんてあまりのことでしょう?だから、無理なく慣れてくれるように、お茶会にお誘いしているの。出来るだけのことはして差し上げたいじゃない?なのに、殿下ときたら、放っておけなんて……」

ルイザ様が可愛らしくローレウス殿下を睨む。
すると今度は、そんな彼女を包み込むような顔で殿下が言った。

「私はね、ルイザ一筋なんだよ。ユリウスが頼み込んで来なければ、側室なんて本当はいらないのだけどね」

「まったくもう。そんなことではダメじゃないですか。子供はたくさん必要でしょう?」

「大丈夫さ。陛下だって、母上しか側に置かなかったんだよ?私も同じでいいはずさ」

目の前で繰り返される、バカップル……いや、仲睦まじい二人にあてられて、私の不安は少しずつ消えていった。
王太子宮において、ナリスは力を持たない。
だって、ここの主は、ルイザ様をこよなく愛している。
この二人の間に、誰も入る隙なんてない。

「ほほほ。お二人とも、そこまでになさって。仲が良いのはいいけれど、子供を前にする話しではなくてよ?」

おばあ様が高らかに笑うと、ローレウス殿下とルイザ様は、私を見て顔を真っ赤にした。
なんて微笑ましいのかしら!
いつか、私もダリオンとこんな風に……。
いや、それはないわね、それは……。
表情筋が死んでいる人が、真っ赤になって照れることは多分ない。
残念ながら、ね。
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