廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「世界の果てまで走れます!」と言い張る病人を前に、私たちは困り果てていた。
トマスやセドリックが手を尽くしても良くならなかったものが、そんなに簡単に治るはずはない。
ルイザ様は、子どもの私を喜ばせようと嘘をついているのでは?
そんな憶測すら浮かんだ。

「失礼致します、妃殿下。イエーレン先生とセドリック殿がお見えですがお通ししてもよろしいですか?」

ほとほと、困り果てていたところに、タイミング良くマイラーがやってきた。

「あら。ええ、通して頂戴。私が良くなったかどうか、確かめてもらいましょう!」

「え?……は、はぁ。か、畏まりました」

何が起こったのかわからないマイラーは、そそくさと退出すると、やがて、トマスとセドリックを連れてきた。
彼らは、今日私たちが来るのを知っていたようで、軽く頭を下げると殿下とルイザ様に向き直った。

「両殿下、ご機嫌麗しゅうございます。本日妃殿下のお加減は如何でしょうか?」

「トマス!私とんでもなく絶好調なの!それなのに、誰も信じてくれないのよ!」

「は?……はぁ。えーっと……」

捲し立てるルイザ様に、トマスは面食らい、隣のローレウス殿下に助けを求めた。

「すまないね、トマス。ルイザが治ったと言い張るんだ。たぶん、ルキアのお芝居を見て、興奮してるんだろうけど……」

殿下、全くその通りだと思います。
私とおばあ様は深く深く頷いた。
ルイザ様は性格も素直で、感受性も豊かだから、きっと影響されやすいのだわ。
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