廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
ルイザ様は私の元に歩みより、手に何かを握らせた。
手を開いてみると、そこには銀色の美しいネックレスが。
丸く赤い宝石を大切そうに抱え込む天使のモチーフがついていて、かなり高価なもののように見えた。

「そんな!いけません、ルイザ様!こんな高価なもの頂けません!」

「いいのよ、受け取って。これは、私が少女の頃から大切にしていた物なの。でも、もう年が行きすぎて似合わなくなってしまって、着ける機会がなかったのよ。だから、ね?」

「……あ、でも……」

「ルキア、ありがたく頂いておきましょう」

おばあ様が言った。
あ、そうか。
無下に断るのも失礼にあたるかもしれないものね。
私はルイザ様にお礼を言うと、掌のネックレスを見つめた。
フェルナンシアにいた頃、母の死により所有していた宝飾品は、王妃とナリスに根こそぎ奪われた。
母が身に付けていた思い出深い物もあったのに、それら全てを失ったのである。

「着けてあげましょう」

「え?」

ぼんやりしていると、真正面にルイザ様の笑顔があった。

「ほらっ!後ろを向いて?」

有無を言わせず体を回転させられると、首元にヒンヤリとした感触がした。
私の首元には天使のネックレスが、ちょうど良い長さで煌めいていた。

「あら、ぴったり!」

顔色の随分良くなったルイザ様は、ネックレスの天使のように慈悲深く微笑んだ。

そうして私たちは、無事仕事を終えて王太子宮をあとにし、エスカーダ邸へと帰路に着いたのである。
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