廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「これは我が軍が非常時に使う救難信号だ。実際過去の戦で兵士の命を救っている」

「救難信号……」

なるほど、これは現代のモールス信号のようなもの。
私は理解すると、次の言葉を待つ。

「軍の者以外にこの信号を知っているものはユグリス殿下くらいだ。不定期に変えているから、漏れる可能性も低い」

「徹底しているのですね。それならば、敵はこちらが救難信号を出しても、何をしているかわからない、と……」

「ああ」

それにしても……。
軍部しか知らないことを、私のような子どもに教えてしまって大丈夫なのかしら。
現代なら大問題になりかねない。
もちろん、他に漏らしたりはしないのだけど……。
気がかりに感じながらも、私は教えてもらった信号を指で叩いてみた。

「良し。覚えたな」

「は、はい」

覚えましたけど……これ、使いませんよ、たぶん。
でも、満足そうなダリオンを前にそんなことは言えず、素直に頷いておく。
すると突然、部屋の扉が叩かれた。
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