廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「何を仰いますやら。ルキア様女神説は、今や王太子宮のみならず、王宮での定説でございます」

「そうねぇ。こう立て続けに奇跡が起こると、あながち間違っていないのかもしれないわ」

マイラーの言葉におばあ様が同意する。

「おばあ様!?そんなことは……」

「そんなことはないでしょう」

私の言葉を代弁したのは、なんとダリオンだ。

「何でもやたらと奇跡で片付けるのは浅慮過ぎる。それに特別な力など無いに越したことはない」

「あら、珍しく良く喋るわね。あなたが人のことに関心を持つなんて、どういう風の吹きまわし?」

ふふ、と笑うおばあ様を前に、ダリオンは肩を竦めた。
でも確かに、人嫌いを拗らせたダリオンがここで口を挟むのもおかしな話である。
基本、人が何をしようが、自分に迷惑がかからなければ問題ない、そういう人のはずなのに。

「別に……ただ、そんな噂が広まれば、悪い連中を引き寄せる可能性があるので」

「ああ!なるほど!あなた、ルキアがその悪い連中に狙われるのが心配なのね!」

「……」

驚いて見上げると、ダリオンは黙り込んだ。
まさか、私を心配して言ったの?
普段なら「違います」と、即座に冷静に否定する、ダリオンはそういう人だ。
でも、今回は黙ったまま。
これは、肯定……なのかしら?
短い沈黙の後、おばあ様はニヤリと笑い言った。

「マイラー?ローレウス殿下とルイザ様に良くお礼を言っておいて頂戴ね。近いうちにまた伺いますから、と」

二人の舌戦に面食らっていたマイラーは、突然話を振られて驚いていた。
しかし、すぐに姿勢を正して頷くと、そそくさと邸を後にした。
< 170 / 228 >

この作品をシェア

pagetop