廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「で、では……探して頂けますか!?」

トマスは縋るようにダリオンを見た。
深く頷いたダリオンは、早速軍部へ向かうため踵を返す。
しかし、その途中で一旦止まり、こちらを振り返った。

「ルキア、気を付けろよ」

「……えっ?」

何にですか?と聞こうとした時には、もうダリオンは部屋から出ていた。
「気を付けろ」ってどういう意味?
いろいろ考えてみたけれど、さっぱりわからず、私は考えるのをやめた。
きっと、セドリックと同じくらいの歳だから、注意しろと言いたかっただけよね。

「さぁ、トマス。あなたはここで少し休みなさい」

おばあ様はトマスをカウチソファへ導いた。
昨日から寝ていない彼の顔色はとても悪く、食事もしていないのか今にも倒れそうだ。

「申し訳ありません、カトレア様……」

「いいのですよ。セドリックは必ずダリオンたちが探し出すでしょう。だから、あなたは食べて、寝ること!よくって?」

「……は、はい」

涙目のトマスの肩を、おばあ様は優しく擦った。
私はそっと部屋を出て、エレナにローリーへの伝言を頼んだ。

人肌のホットミルクと、甘くて口どけの良い焼き菓子を応接室に、と。

こういうときはとにかく、気分が落ち着く甘いものが良い。
そう思い、オーダーしたのである。
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