廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「問題の場所は、博物館の向こうよね?」

「ええ。大きく迂回しなければなりません。もう少し歩きますが大丈夫ですか?」

「うん。平気よ!行きましょう」

私たちは博物館を右に迂回して先に進む。
行った先には美しい庭園があり、石畳の道は一気に緑の芝生に変わった。
遊歩道には濃いピンクのブーゲンビリアが咲き誇り、道の両脇には白いデイジーが列を成す。
鮮やかな景色に心を奪われていると、ふと目の端にあるものが映った。

「ねぇ、見て。あんなところに馬車が止まってるわよ」

指を差し、ローリーに尋ねた。
緑の庭園に埋もれるように、場違いな馬車が止まっている。
まるで、人目に触れたくないかのように。

「たぶん造園師じゃないでしょうか。博物館が休みなので、庭園の手入れに来たのでは?」

「馬車で?」

「スコップとか肥料とか、植え替え作業には重い物が多いですからね」

「ふうん。あ、じゃあ、セドリック様のこと聞いてみない?」

庭園の造園師なら、何か見ているかもしれない。この辺にも詳しそうだし、聞いてみる価値はありそう。
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