廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「そんな……お気の毒に……」

声に出して呟くと、不意にある人のことが頭に浮かんだ。
優しくて美しくて、柔らかな笑顔が印象的な……私のお母様のこと。
病弱でいつも咳をしていたけど、そんなこと微塵も気にしてないように明るかったお母様は、私が四歳の誕生日を迎えた次の朝、亡くなった。
「おやすみ、また明日」と、一緒に床に付いたのに、朝になって起きたのは私だけ。
隣で寝ていたお母様の体は冷たく、美しい瞳にはもう何も映っていなかった。
その時の感情を、言葉にするのは難しい。
ただ、胸にぽっかりと穴が空き、冷風が通り抜ける。
そんな「絶望感」だ。

「……きっと、もう何もかも、どうでもいいと思っているのかもしれないわ」

「ルキア様?」

セルジュが首を傾げて私を見た。
エレナとローリー、ミレイユも、不思議そうにこちらを見ている。

「ね?セルジュ。私はカトレア様の話し相手に選ばれたのよね?」

「……え、あ、はい。確かダリオン様はそのように仰いましたが」

「では、その仕事をします。ただで置いて貰うわけにはいきませんからっ!」
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