廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「ああ……よかったわ……」

安堵と共に気が抜けて、私はそのままダリオンの腕の中でへたりこんだ。
ローリーもセドリックも、みんな不幸な目に遭わなくて本当によかった。
お母様のような悲劇は、絶対に繰り返してはならない。

「さぁ帰るぞ。お婆様もみんなも心配している」

「はい」

ダリオンは私を抱き上げると、そのままスタスタと馬車を降り……え、馬車……?
おかしいわ、私、馬車に乗せられていたはずなのに、馬車なんてどこにもない。
板や布が辺りに散らばり、竜巻に出くわしたような惨状だけが残されている。
ここでなにがあったのかはわからないけど、馬車は跡形もなく廃材と化したらしい。
この様子だと、奴隷商人たちも無傷とは到底思えないわ。

「あのダリオン様?奴隷商人は捕まえたのですか?」

「ああ」

淡白に答えるダリオン。
その会話を聞いていたランスは、さっと私たちに追い付いて来て告げ口するように言った。

「ほんとにねぇ、この人加減ってものを知らないから。僕が粛々と捕まえようとしていたのに、微かな救難信号を聞き付けて問答無用で馬車を破壊するなんてね」

「では、この惨状……状態は全部ダリオン様が?」

「そうだよ。奴隷商人たちもさ、殴られるわ蹴られるわで、あれは骨、何本か逝ってるね」
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