廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「私のことより、ローリーは大丈夫?あれからなんともない?」

「はいっ!丈夫なだけが取り柄ですのでご心配なく!セドリック様も脱水状態から回復されて元気にしているそうですよ」

「まぁ!そう、よかった……」

事件に巻き込んでしまったローリーと、拐われる寸前だったセドリック。
二人の体調もいいようで、ほっと胸を撫で下ろした。

「でも、大変だったわね。ローリーから事情は聞いたわ。お母様のこと……さぞや、ショックだったでしょう」

おばあ様はベッドに腰掛け、私の肩を優しく抱いた。
その瞬間、抑えていた思いが、胸の内に甦る。
奴隷商人に負けまいと、感傷に浸るのは後回しにしていた。
でも、このエスカーダ邸では、思う存分甘えていい。
おばあ様の顔はそう語っていた。

「お、おばあ、様……私……私の……お母様は……」

「ええ、ええ。何でも言いなさい。私たちが全て受け止めます。あなたの悲しみや苦しみを分けて頂戴」

気付くと、私の目から大粒の涙が溢れていた。
嗚咽でちゃんと言葉にならないのに、おばあ様たちは根気よく話を聞いてくれた。
赤い髪の巫女として奴隷商人に拐われたお母様は、フェルナンシアに売られて、私を生んで病気で死んだ。
その壮絶で悲しい人生に、救いなど微塵も感じられない。
生きている時に、その重荷に気付いてあげられなかった自分にも腹が立つ。
そんな赤裸々な気持ちを、私は全てさらけ出した。
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