廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「お母様の人生には、なんの幸せがあったと言うのでしょうか……」

呟く問いに、おばあ様が答えた。

「彼女の幸せは、きっとあなたの存在でしょう」

「私……ですか?」

「そう。大きな不幸に見舞われたなか、ただ一つの拠り所がルキアだったのだと、私は思います」

「そうでしょうか?」

お母様にとって、私はお荷物ではなかったのだろうか?
憎むべきフェルナンシア王との間に生まれた娘なんて、本当は見るのも嫌だったのでは……。

「子供を持たないあなたにはまだわからないかもしれません。しかし、母親というのは、無条件で我が子を愛せるものなのよ」

「……でも」

「愛されていたのか自信がないの?ふふっ、ルキアが愛されていたのは、私たち全員が知ってるわ」

おばあ様はうしろに控えるエレナとミレイユ、真正面で膝をつくローリーを見た。
その視線を受けて、みんなが力強く頷く。

「お母様に愛されていたからこそ、ルキアはこんなに優しいのでしょう?あなたを優しい子に育てられたのは、シエナの愛の賜物ですよ」

「おばあ様……」

暖かいなにかが、私の中に流れ込む。
それは王太子宮でお芝居をした時、胸の内から溢れ出た柔らかな思いと似ている。
きっと、内から出たのは、お母様の想い。
今流れ込むのは、おばあ様たちの想い。
これを、世の中の人は「愛」と呼ぶのかもしれない。
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