廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「そ、そうなのですね……ダリオン様にも心配をかけてしまったみたいで申し訳ないです」

一生懸命平常心で返すと、恥ずかしさをごまかすため話を変えることにした。
そう、まだ気になっていることがあったから。

「そういえば、奴隷商人はあれからどうなりましたか?」

「ああ、あれね。どうもユグリス殿下が一旦城の地下牢に入れたらしいのだけど、今朝方、どこか違う所へ運ばれたらしいわ」

腕を組み、難しい表情でおばあ様は言った。

「どうしてでしょう?」

「わからないわ。全く、最近のユグリス殿下の行動には不審な点が多すぎる。一度、じっくり灸を据えないといけないかしらねぇ」

苛立ちの見えるおばあ様は、物騒なことを言った。
これは近い将来、カトレア・エスカーダに説教される貴重なユグリス王子の姿が見れそうである。

「ダリオンならその辺り、詳しく知っているかもしれないわね」

「あ、そうですね!では、帰って来られたら聞いて……ん?」

言葉を止めたのは、外で馬の嘶きが聞こえたからだ。
それも一つや二つではない。
少なくとも小隊規模の騎馬隊がエスカーダ邸に来たらしい。

「なにかしら?ダリオンが隊を引き連れて来たのかしらね……誰か、見てきて頂戴」

「畏まりました!」

扉の一番近くにいたミレイユが即座に飛び出した。
ダリオンが帰って来たのなら、ちゃんと着替えなくてはいけない。
私はエレナとローリーに手伝って貰って、手早く支度を済ませた。
すると、廊下から誰かの焦った足音が近付き、直後、物凄い勢いでミレイユが部屋へ転がり込んで来た。
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