廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
5、私の秘密

「そ、そうだったのですか。陛下がお母様の……」

思わず視線を逸らし、口ごもる。
だって、彼からすれば、私はお母様をお金で買った憎い男の娘。
言葉では言い表せない複雑な心境に、俯いたまま拳を握った。

「どうしたのだ?」

「い、いえ。なんでもありません」

「では、こちらを見てくれないか?そのシエナに似た瞳で私を見てほしい」

「……陛下は憎くないのですか?私はフェルナンシア王の娘なのですよ。本当は、見たくもないのでは……」

「違うっ!君は大きな勘違いをしている!」

突然シルヴェスター陛下が叫び、私は驚いて顔を上げた。

「え?」

「ああ……なんということだ。違う違う、全然違うんだ。思い出してくれ。お芝居の続きの話を」

「続き?」

そう言えば、アルカディア劇団を訪ねた折、続編の話を聞いた。
サリファが拐われた時、彼女のお腹にはすでにレストとの子どもがいて……。
え?まさか、あれも真実の話?
私の表情がみるみる変わっていくのを見て、シルヴェスター陛下が言った。

「良かった、思い出してくれたようだね。君はフェルナンシア国王の娘なんかじゃない。私の娘なんだ」

安堵して微笑む陛下と、鳩が豆鉄砲くらったような顔の私。
その光景はかなり滑稽だったにちがいない。
それほど陛下の予期せぬカミングアウトは、衝撃的だったのだ。
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