廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「……で、では、本当に陛下は私の、お、お父様……なのでしょうか?」

「お父様」と呼んでもいいのかと迷い、恐る恐る口にすると、シルヴェスター陛下は満面の笑みで頷いた。
こんなに衝撃的な事実を聞いたのにもかかわらず、私の心の中は暖かいもので溢れていた。
フェルナンシア王家の血を引いているのが、ずっと嫌だった。
自分たちさえよければそれでいいと考えている王や王妃、そしてナリス。
自分もその血を引いていると思うと吐き気を催すこともあった。
でも、そうではなかった。
私は、私は……。

「ルキア。私はね、本当は名乗るつもりはなかったんだ。だが、ある人に名乗るべきだ、と言われてね。勇気を出してみたのだよ」

「あ、それは……」

私だ。
「せめて真実を伝えましょう」と、あの日劇場で強く言ったのだった。
私が見つめ返すと、堂々としていたシルヴェスター陛下は、急に照れ臭そうな表情になった。
大国の王様でも、父親の名乗りを上げるのは結構な勇気がいるらしい。
でも、それは聞いた私も同様だ。
なんと呼べばいいか、どんな顔をしていいかがわからないし、泣きたくなる衝動が波のように襲ってくる。
でも、泣くわけにはいかない。
だって泣けば、せっかく少し仲良くなったダリオンに嫌われてしまうもの。
そう思い、私は泣き笑いのような変な顔で踏ん張った。
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