廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
続けざまに身内を亡くしたカトレア様。
重く閉ざした心の扉を開けるのは、並大抵のことじゃない。
少し重苦しい気持ちになりながら、私は別宅の玄関の前に着いた。
しんとした静けさが冷たい風を運んでくる。
漆黒の重そうな扉は、他者を排除しようと立ち塞がっているようだ。
私は思い切って真鍮の取手に手をかけた。
ギィ……と音を立てる扉を潜り、中に体を滑り込ませる。
幸い体が小さいので、重い扉も少しの時間支えるだけでなんとかなったけど、入ってすぐに後悔した。
あまりにも暗く、静かなのだ。
玄関脇の女神の像や、中央階段の絵画までが、侵入者を咎めているようで身が震える。
早くここを抜けてカトレア様に会わないと……。
そう自分を奮い立たせ、カトレア様の部屋を探して歩を進めた。
確か一階、玄関付近の応接室の隣。
ディミトリ様の書斎を改装し、そこにずっと籠もっているのだと聞いた。
二つ先の扉を探しあてると、耳を澄ませてみた。
中からは何も聞こえない。
ここが正解なのかどうかもわからなかったけど、覚悟を決めて突入した。
そっと静かにドアを開け、足音を立てないように部屋に入る。
もちろん、迷った子供を装う演技も忘れずに。
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