廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
私は静かに頭を下げると、ゆっくり出口へと向かう。
去り際に振り返ってみると、カトレア様は杖を付きながら最初の位置へと戻っていた。
部屋の窓辺。
美しい中庭が見える椅子に腰を下ろし、庭を見るでもなく、ぼんやりと微睡む姿は、生きることに疲れているように見えた。

重い足取りで本宅へ戻ると、セルジュが待ち構えていた。

「どうでしたか!?」

彼にしては珍しく慌てている。

「ごめんなさい。あまりお話は出来なかったわ」

「会話をされたのですか!?それはすごい。私はてっきり沈黙で終わったのかと……」

「会話……というか、出ていけと叱られただけ。でも、何か少し……」

「少し?」

お芝居のことを尋ねた時の、ほんの少しの動揺。
それが気になる。

「カトレア様は、お芝居がお好き?」

「え?どうしてそれをご存じで!?」

セルジュは目を丸くした。
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