廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
5、一人芝居

カトレア様にお芝居を見て(聞いて)貰おう……私はセルジュたちにそう言った。
でも、カトレア様を連れ出すのは不可能に近い。
仮に連れ出せたとしても、視力の低下で観劇するのは難しいはず。
それならば、答えは一つ。
この屋敷の中で「私」が「声のみ」で上演すればいいのだ。
幸い、前世で一人芝居や朗読のイベントもこなしており、演じ分けには多少の自信がある。
後は、カトレア様のお気に入りの物語を脚本にし、読み込んで練習をしなくてはならない。
セルジュが本を選び、エレナたちが脚本を書き、私が全てを演じる。
この分担作業で、作戦は進行した。
肝心の舞台は、本宅と別宅を繋ぐ中庭に決めた。
カトレア様が座っている窓辺は中庭に面していて、声が良く聞こえる。
さらに大きな建物に挟まれている構造上、中庭で叫ぶと反響が起こり、最適な舞台となるのだ。

準備を始めてから三日後、作戦はついに決行の時を迎えた。
中庭の本宅寄りに効果音係のセルジュたちが控え、私は真ん中に進み出る。
別宅のカトレア様の部屋を見ると、いつのように影が出来ていた。
うん、今日も窓辺に座っているわ。
確認すると、私は右手を挙げた。
これは、始まりの合図である。
< 27 / 228 >

この作品をシェア

pagetop