廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
『お父様!私、どこの国にも嫁ぎませんわ!』

ここは甲高い声で大きく。
役どころは強気な王女、である。

『やれやれ、またか。王族は与えられた役目を果たさねばならん!と、いつも言っているではないか』

年老いた王は諭すように言う。
また王女のワガママか……と呆れたように。

『だって、見つけてしまったもの!あの方こそ、運命の方!結婚するならあの方しかいませんわっ』

叫ぶと大きく反響が起こる。
私の声は、まるで一本の槍が突き抜けるようにエスカーダ邸に響き渡った。
演じる物語は、ある王女と辺境の公爵の話。
イケメン辺境公爵と、彼に一目惚れした王女のラブストーリーである。
実話を元にしたというこの話を、カトレア様は一番気に入っていたらしい。
きっと境遇が自分と似ていたからだ。
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