廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
お芝居は、だいたいニ日に一度のペースで上演され、今回でとうとう五回目になった。
裏方のセルジュたちの手際もどんどん良くなり、 次の上演までの準備はかなりスムーズに進む。
しかし、肝心のカトレア様からはなんの言葉も貰えなかった。

五回目のお芝居の後、さすがに私もセルジュたちも落ち込んだ。
これ以上続けても、カトレア様は反応してくれないんじゃないか、とか、ひょっとしたら聞いてもいないんじゃないか……とか。
悲しい想像をして全員でうなだれていると、別館から呼鈴の音がした。

「あれは!」

セルジュがハッとして顔を上げ、エレナが叫ぶ。

「カトレア様がお呼びですわ!セ、セルジュ様、早く行かなくては……」

「あ、ああ。そうだな。うん。ではルキア様、私、ちょっと別館へ行ってきます」

「う、うん。お願い」

いつも冷静なセルジュは、何とも言えない表情をしていた。
不安と困惑。
カトレア様に言い渡される言葉の予想が全くつかないからだ。
別館へ向かうセルジュの背中を見送りながら、私とメイドたちも不安なまま黙り込む。
「迷惑だからもうやめて」とか言われたら……それは、悲しすぎる。
だけど、こっちが勝手にやったことなのだから仕方ないわ。
カトレア様の言葉を真摯に受け止めるしかない。
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