廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「私、てっきり養女に迎えて下さるのかと……」

「あら?そんなこと、一言も言ってなくてよ?」

……そうですね、言ってないですね。
だけど、婚約者だ、とも聞いてませんけどね!
とは言えずに、私はぐぬぬと口ごもる。

「そ、そうですけどぉ……それに、ダリオン様も嫌そうでしたよ?」

無表情だから良くわからなかったけど、たぶん嫌がってる。
そんな気がする。

「あの子はいつもあんな感じなのよ。だから、気にすることないって言ってるの!任せときなさいな」

「……えぇ……でも……私まだ、七歳ですし……」

そうなのだ。
どうみても大人なダリオンと七歳の子どもの私。
こんなニ人の婚約はどう考えてもおかしすぎない?
いくら、この世界が早婚だと言っても七歳はないと思う。

「年の差なんてバカらしい!ルキアも元王族ならわかるでしょう?幼い頃から婚約者が決まってるのなんて普通よ?」

「まぁ。そうですけど。でも……」

「まさかとは思うけど……ルキアはダリオンが好みじゃなくて?」

「はぁ?そ、そんなわけないですっ!むしろ好きです、大好きですっ!(特に顔がー!)」

本音を叫んでしまった瞬間、私は後悔した。
それは目の前のおばあ様やエレナたちが、ニイッと気持ち悪い笑顔を見せたからだ。
これは、嵌められたのかもしれない?

「良かったわ!じゃあ何の問題もないわね?」

「……いや……あ、はい」

最早何を言っても無駄かもしれないと、私は腹を括った。
幸い、ダリオンの顔はこの世で一番好きな造形だし、それを一人占め出来るなんて夢のような話だ。
でも果たして、そんなに事が上手く運ぶのかどうか。
能天気に笑うおばあ様や、メイドたちを見ながら、この先の波乱を思い浮かべ、私は密かにため息をついた。
< 62 / 228 >

この作品をシェア

pagetop