廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
4、一陣の風

ロダンのエスカーダ邸は、辺境の本宅よりは小さいけれど、それでもかなりの広さがあった。
一階には何十人も集まれる大広間、二階は主にダリオンの執務室や書物庫等があり、三階に寝室や客間が集中している。
おばあ様の部屋の隣は私の部屋で、荷物は既に運び込まれていた。
着いた日の夜は、疲れを癒すため、おばあ様は早々に部屋に戻った。
私にも「今夜はゆっくりするように」と言い、その指示に従い部屋に戻ると、気を利かせたエレナがハニーホットミルクを用意して待っていた。

「ルキア様、お疲れ様です。さあどうぞ、お飲みになってください。温まりますよ?」

「ありがとう!エレナ」

一年を通じて、涼しい気候のレグナントは夜になると気温がかなり下がる。
そのため、寝る前に、ハチミツを少し加えたハニーホットミルクを飲むのが、貴族女性の間で流行しているのだとか。
ローリーお手製のハニーホットミルクは、素材にこだわったハチミツとミルクを使い、バランス良く仕上げられていてとても美味しい。
私も、エスカーダ家に来て初めて飲んだ時、そのあまりの美味しさに虜になったのだ。
ホットミルクを飲み終えると、椅子に座った私の後ろにエレナが回り込んだ。
そして、高く結った私の髪を丁寧にほどいて優しくブラッシングを始めた。
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