廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「そうね。ああ、それから、ルキアを紹介しましょう」

馬車を降りたおばあ様は、チラリと後ろを振り返る。
それを合図に、出来るだけ大きなアクションで挨拶をした。
体が小さいなら振りは大きい方がいい、というのは鉄則である。

「ごきげんよう。イエーレン先生。ルキアと申します。どうぞお見知りおき下さいませ」

「これはこれは!なんと美しいお嬢様だ。お手紙の通りですね!」

「そうでしょう?」

何故かおばあ様が勝ち誇る。
一体どんな手紙を送ったのか……それが気になるところだけど。

「ええ、まさに!ルキア様、お会い出来て光栄です。私のことはどうかトマスとお呼びください」

「ありがとう、トマス様」

優しい笑みのトマスに先導されて、診療所の中へと足を踏み入れた。
待合室には誰もいない。
これで経営は大丈夫なのかしら?
そう考えていると、おばあ様が尋ねた。

「人の気配がしないわね。トマス、あなたの診療所大丈夫なの?」

……ど直球である。
聞きにくいことを素直に口にしてしまうおばあ様、素敵です。
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