廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「セディ……ルキア様が困っているじゃないか」

トマスが言った。

「あ、すみません。失礼でしたか?」

「い!?いえそんな!驚いただけですわ!」

きっと、私の顔は真っ赤になっている。
気恥ずかしさと勢い負けした悔しさで、なんとも言えない気持ちだ。

「ふふ。なんとまぁ、微笑ましいこと。ルキアは大人びていますが、なんといってもまだ七歳。年の近い友達と交流を深めることも大事でしょう」

「ええ!うちのセディが役に立って良かった!」

おばあ様とトマスは、私とセドリックを置いて、楽しそうに廊下を歩いていく。
その後ろをミレイユが、意味深にニヤリと笑いながら、足早に通り過ぎていった。
……な、なによ。もう!

「ルキア様?」

セドリックは私を覗き込む。

「え?あ、はい。なんでしょう?」

「お芝居がお好きだと聞きましたが……」

「お芝居……ええ!大好きです!」

「良かった!じゃあ、きっと楽しんで貰えると思います!さぁ行きましょう」

そう言うと、セドリックは床に置いた木箱を拾い上げた。
近くで見ると、いろんな人形が種類豊富に入っている。
どれもこれも年季が入っていて、少しほつれていたりもした。
これは……おそらく。

「セドリック様。人形劇ですわね?」

「その通りです。近くの療養所で披露してるんですよ」

「セドリック様が!?」

尋ねると、セドリックは目尻を下げた。
レグナントでも有名な天才少年が、人形劇を披露する?
そのことに驚きながらも興味をひかれ、楽しそうなセドリックの後を私はひたすら付いていった。
< 74 / 228 >

この作品をシェア

pagetop