廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
6、天才と人形劇

診療所を回り込むように移動すると、白い木造三階建ての建物があった。
商業区側にあるその建物の名は「ルミナリエス療養所」。
簡単に言うと病院である。
建物の中に入ると、一階の広い談話室にいろんな年代の人たちが集まって座っていた。

「大勢いますね。みなさん、人形劇を見に来ているのですか?」

「はい。療養所に入院している人たちと、近くの孤児院の子どもたちです。いつも楽しみにしてくれているのですよ」

セドリックは心底楽しそうに微笑んだ。
それを見て、本当に人形劇をするのが楽しいんだな、と思った。
私も演じるのが楽しかったけれど、きっとセドリックも同じなのだと親近感が沸いた。

「あっ!セドリック様!?早く早く!みんなお待ちかねですよ!」

甲高い声に目を上げると、そこには大柄な女性がいた。
全身白い服で、ネームプレートをつけている。

「ごめん、遅れちゃったね、すぐに用意するよ!で、ローズさん、こちらがルキア様」

セドリックに紹介されニッコリと会釈すると、ローズは大きな背を屈めてこちらを覗き込んだ。
そして、すぐに目を細めた。

「初めまして!私はローズ。療養所の所長です。ルキア様のお噂はセドリック様からいろいろ伺っておりますよ!」

「こんにちは、ローズさん。噂ってなんですか?」

「あのレグナントの高貴なる華、伝説の女性カトレア・エスカーダ様を救った亡国の王女様ってね」

「えっ?いえ、そんな大層なことは……」

救ったって言っても私はお芝居をしただけ。
おばあ様が少しでも元気になればいいって始めたことで……何もかも偶然の産物である。
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