廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「いやいや、これは凄いことなのですよ?何年も引きこもっていたカトレア様を王都に連れて来て、目の診察を受けさせるなんて。父様はほとんど諦めていたのですから」

セドリックが言った。

「そうなのですか?」

「そうでございますよ?カトレア様がいなくなってから、社交界の勢力図が不安定になって……なにせ、これまで頂点に立っていた者がいなくなったのですから、その後釜を狙った貴族連中の醜い争いが絶えないらしいのです」

私の問いに答えたローズは、鼻息を荒くして一気に捲し立てた。
貴族ではないローズがここまで知っているということは、商業区の方でもかなり有名な話なのだろう。
本邸でおばあ様が言っていた「エスカーダの威光を取り戻す」……その言葉には、醜い争いをやめさせる、との意味合いもあったのではないか?と、考えた。

「カトレア様が復帰なさるのなら、だいぶ安定するのではないかと、専らの噂……あっ!それよりもまず人形劇ですよ、セドリック様!」

ローズは思い出したように、セドリックを見た。
するとセドリックは、一時何かを思案して、その後、私に言った。

「ルキア様。良かったら、演じる方にまわってみませんか?」

「私が……ですか?」

前世で人形劇はやったことがない。
でも、この未知の世界にすごく興味がそそられるわ!
暫く考える振りをした後、私はコクンと頷いた。

「そう言うと思いました!では、こちらに」
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