廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「ダリオン様が?あの戦術書を?」

装丁が新しく紙も傷んでいなかったから、そんなに昔の物ではない気がしていた。
『レグナントの歴史と兵法』というタイトルの書物で、おばあ様が勧めてくれた……あっ!
これ、もしかして……その時からおばあ様は仕組んでいたのでは?!
驚愕する私にダリオンが尋ねてきた。

「あの本は、読みやすいか?」

「は、はいっ!大人にも子どもにも、それこそ万人が理解出来る良書だと思いますっ」

「……そうか……」

ダリオンは一言呟くと、窓の外へと顔を向けた。
話は終了したけど、それ以降、馬車の中の雰囲気はとても軽やかになった。
特にダリオンのギスギスしたオーラが和らいだことが大きい。
まだ無表情は継続中だけれど、隣から感じていた絶対の拒絶が消え去った。
しかし、その理由についてはよくわからない。
自分の編纂した本が、子どもにも理解されて嬉しかったのか……。
私に推測出来るのはその程度だけど、とにかくご機嫌を損ねなくて本当に良かった!

危機を脱した私は、安堵して景色を堪能する。
馬車は門を越え、一路、白亜の王宮へ向かって走り出していた。
武装国家、大国レグナントの晩餐会とは、果たして、どんなものなのだろう。
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