堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「ですよね。みなさま、大変なんですよね。ですから、私のわがままでジル様にこちらに帰って来ていただきたいと思うのは、ダメですよね、きっと」
 はあ、とエレオノーラはもう一度深くて大きくて長いため息をついた。

 それでは、私と仕事、どっちが大切なの? と迫るようなものじゃないか。そもそもの比較対象が間違っている、というものだ。

 でも、ジルベルトは働きすぎではないか、とも思う。
 立派に労働基準法違反だ。休みがない。帰ってくることもできない、つまり深夜残業もしている。一体、いつ休んでいるんだろう? それに残業手当や深夜勤務手当はついているのか? とか。
 そんなことまで考えてしまうエレオノーラ。寂しすぎて、脳内での考えが暴走しかけているようだ。今の記憶と前世の記憶が入り混じってきている。

 うーん、と義母は頬杖をつく手をかえた。
 忙しいにしても、屋敷に帰って来ることができないくらい忙しいというのは、いかがなものか。できれば式を挙げるために二日くらい休みを取らせてもらえないのだろうか。というのが義母の思い。

< 252 / 528 >

この作品をシェア

pagetop