堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 やはり、か。心当たりが的中し過ぎた。
 ジルベルトは手にしていたアルコールを一気に飲み干した。

「おかわり、だ」

 ドミニクは店員を呼んで、飲み物を頼んだ。

「団長、たしなむ程度ですよ」
 ジャックが声をかけているが「俺はこれしきでは酔わん」とかジルベルトは言っている。
 彼の一人称が私から俺になった時点で相当怒っているな、とドミニクは思ったが口にはしない。
 
「ドミニクさんて、本当にバーデール語が堪能ですよね」
 ジャックが話題をかえた。恐らく空気を読むことができる優秀な部下なのだろう、とドミニクハ安心した。
「ボクたちだけでは、こんな美味しい夕飯にありつけなかったですよ」

「ええ。バーデール語は学院時代に専攻していましたから」
 ドミニクは模範解答のような答え方をした。あまり深い答え方をすると、第零の触れてはいけないところが口からこぼれてしまう可能性があるから。嘘をつかない程度の、程よい事実のみを口にする。

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