堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「ボクも習ったはずなんだけどなぁ」
 とジャックはぼやく。授業で習っていたくらいで堪能になっていたら、今頃、自国ではバーデール語が標準語になっているはずだ。

「まあ、言葉は使っていないと忘れますからね」
 ドミニクの上辺だけの言葉。そこへ店員がお替わりの飲み物を持って現れた。

「はい、ジルさん」

「ああ、ありがとう」

「なんか、お二人の関係っていいですね」
 ジャックが頬杖をついて言った。ジルベルトとドミニクはジャックを見つめた。

「そうそう。団長に相談があるんですけど」
 ジャックは頬杖をついていないほうの手で、機械的に豆を口に放り込んでいる。

「なんだ?」

「ボクとセレナさんの仲をとりもってくれませんかね?」
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