堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
 そして、パーティへの参加。それはすなわち。

「ジル様の。その、このような格好は珍しいですね。とても素敵です。ちょっと得した気分です」
 うふふ、とエレオノーラは笑みを浮かべた。役得という奴だ。

 彼女が言う通りジルベルトの正装は珍しい。しかも、騎士団の式典用の正装ではなく一人の貴族としての正装だ。
 いつもはオールバックにしている髪型も、今日は前髪を少し垂らしている。一目見ただけでは、あのリガウン団長であるということに、団員たちも気付かないだろう。髪型一つで変わるものだ、と思う。

「今日は、騎士団としての参加ではないからな」
 という口調はいつものジルベルトのもの。さすがにそこまでは変わらないらしい。

「その、エレンは相変わらずだな」
 右手の人差し指で頬をかきながら、ジルベルトはまじまじとエレオノーラの恰好を見た。頬をかきながら、という仕草は「どうしたらいいかわからない」という困惑を意味している。
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