逆プロポーズした恋の顛末
恐ろしい可能性に身震いするわたしに、千陽ちゃんは「どうしたらいいんでしょう?」と泣きつく。
「ええと……いままで、幸生にそのう……告白したことある?」
「何度も!」
涙目で訴える彼女に、念のため確かめる。
「好きだって言ったの?」
「はい!」
「それで、幸生は?」
「ぼくも、千陽ちゃんのこと好きだよって」
「…………」
(あー、いわゆる何の含みもない「好き」ね……)
「ちなみに、キスとか……した?」
「えっ……あの……」
顔をピンク色ではなく、真っ赤に染めた千陽ちゃんが、モジモジしながら打ち明けた。
「一年前に、バレンタインのチョコレートをあげた時、ほ、ほっぺに……してくれました」
(我が息子ながら、終わってる。いまどき、幼稚園児でも好きな女の子とは唇にチューするわっ!)
ここまで来ると手順を踏んでとか、ゆっくり時間をかけて、なんて無駄なだけだ。
まるで家族のようにして育った二人に、これ以上お互いをよく知るための時間が必要だとは思えなかった。
(出会ってからいままで、ずっとお付き合いしていたようなものなんだから、あとは結婚すればいいだけでしょ)
朔哉さんには申し訳ないが、手段を選んではいられない。
このまま幸生がいつか自覚するのを待っていたら、千陽ちゃんがロクデナシに食い荒らされてしまうかもしれない。