キミは掴めない。
「べ、別に笑ってないもん!」
「ふぅん」
「なに、その信じてないって顔は……」
ムムム、と眉をひそめて見上げても、清瀬くんの口角は意地悪そうに上がっているだけ。
「……なんかお前ら、仲良くなったな」
そんなわたしたちを見ていたアキちゃんが、ふとそう言った。
え?と視線を向けると、不思議そうな顔をしたアキちゃんと目が合う。
「み……月島が、学校で誰かとそんな風に普通に会話してるの初めて見た」
アキちゃんのその言葉に、あ、と思った。
清瀬くんに、千尋ちゃん。そしてまだちょっと緊張はするけど、大野くん。
誰ともロクに会話ができなかったわたしが、3人もの人と普通に話ができるようになっている。
「もしかして先生、羨ましい?」
なんて、調子に乗ってみるけど、アキちゃんが顔をしかめたのに気付いて一歩引いた。