キミは掴めない。


「べ、別に笑ってないもん!」

「ふぅん」

「なに、その信じてないって顔は……」


ムムム、と眉をひそめて見上げても、清瀬くんの口角は意地悪そうに上がっているだけ。



「……なんかお前ら、仲良くなったな」


そんなわたしたちを見ていたアキちゃんが、ふとそう言った。


え?と視線を向けると、不思議そうな顔をしたアキちゃんと目が合う。


「み……月島が、学校で誰かとそんな風に普通に会話してるの初めて見た」


アキちゃんのその言葉に、あ、と思った。


清瀬くんに、千尋ちゃん。そしてまだちょっと緊張はするけど、大野くん。

誰ともロクに会話ができなかったわたしが、3人もの人と普通に話ができるようになっている。



「もしかして先生、羨ましい?」


なんて、調子に乗ってみるけど、アキちゃんが顔をしかめたのに気付いて一歩引いた。


< 53 / 91 >

この作品をシェア

pagetop