キミは掴めない。
あ、またやっちゃった。
やっぱりこういうときだけは、アキちゃんは厳しい。
それがわかってるくせにこうやって困らせてばっかりなのは、もう癖になっちゃってるのかな。
そんな顔しないでよ。
これでも、わたしなりに頑張ってるんだよ、アキちゃん。
アキちゃんのこと、諦められるように。考えないように。
そう言いたい気持ちをグッと堪えて、切り替える。
「……そんなことより、」
アキちゃんは手元に持っていたプリントをわたしたちに1枚ずつ手渡すと、それについての説明を始めた。
「5限目のLHRで、来月にやる体育祭の種目を決めてもらいたい」
進行はお前たちに任せた、と。
それから細かい決まり事をつらつらと話し始めたアキちゃんだったけれど、わたしは正直頭に入ってはいなかった。
気持ちの切り替え、難しいなぁ。
あまりにもアキちゃんがその切り替えをしっかりできすぎていて、逆にできなくなってしまう。