悪役令嬢ですが死亡フラグ回避のために聖女になって権力を行使しようと思います
「……驚いた。これ温度調節さえできれば本当にできそうだね」

 桶にためた水に何度か皆で魔法をかけて、ゆっくりと凍らせると、凍れなかった塩分の濃い水を残して水が凍っている。
 ただ、いつも最終段階でうまくいかず、塩水ごと凍ってしまうか、凍らないかを繰り返していた。

 それにしても魔法すごい。
 本当に便利。研究すれば、日本でもできなかったことができそうな気がしなくもない。

「うん! これで塩を取り出すことができれば、ほかの領地から買う必要なくなるよね!」

 私がニコニコ顔で言う。

「塩なら落ち葉より高く売れるね。グレンお兄ちゃんの学費稼げるかも?」

 リンちゃんも笑顔でうなずいた。

「お金を稼げれば、夕飯にお肉が食えるかな?」

 リカルドもうれしそうに表情をほころばせた。

「あとは上手に塩を取り出す方法を探すだけだね」

 私は桶に魔法をかけるのだった。




 結局、今日の塩づくりはうまくいかないまま、夕方になってしまったので家に帰ったのだけれど……。

「お嬢様。いったいどこをほっつき歩いていたのですか」

 玄関を開けるなり、ドンッ!と巨大な文字を背負っていそうな勢いで、私の家庭教師であり領地のおかかえ魔導士のミレイユが、待ち構えていた。
 ……ああ、やばい。塩づくりに集中しすぎてミレイユの授業時間忘れていた。
 ミレイユは金髪のメガネをかけた美人さんだ。

「ご、ごめんなさい」

 私が謝ると、ミレイユははぁぁぁぁっと深い深いため息をついた。

「まったく、お嬢様は令嬢とは思えぬほどのお転婆っぷりで。
 いったい誰がそのような教育を……ってほぼ私ですよね」

 ミレイユは自分で自分にツッコミを入れている。

「そうです。私の教育方針がいけなかったのでしょう。
 私のこの毒舌がお嬢様の性格に悪い影響を。いえ。
 でもしかし、お嬢様に毒舌の気はありませんし、やはりお嬢様本来の性格のせいですね。
 そうです。そうに違いありません」

 自問自答し、やっぱり私が悪いということで結論が出たようだ。
 そしてふんっと腕を組む。

「さぁ。今日はなぜ授業をサボったのか、みっちり説明してもらいますからね?」

 ミレイユは無情なことを言いながら、威圧的な笑みを浮かべるのだった。
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