政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
「そんなことしません!でも、今まで壱都さんが積み上げてきたものを私が奪ってしまったのに……」

「大したことじゃないよ」

壱都さんは私に手を伸ばし、頬に触れた。

「君を手に入れることができるならね」

そう言って壱都さんは微笑んだ。
なぜ、こんな時に笑えるの?
そう私が聞く前に壱都さんは体を抱きしめて、唇を重ねた。

「……っ」

浴衣の襟もとに差し込まれた手のひらが熱い。
お互いの体温がいつもより熱くて、触れるだけでその熱さが伝わってくる。

「壱都さ………」

「駄目?」

「いいえ……でも」

「なに?」

「私、壱都さんのこと好きです」

思いを伝えておきたかった。
壱都さんは唇を奪い、我を忘れたかのように激しく何度も口づけた。

「っ…くるしっ……」

息ができないと思っているのにわずかな隙すら埋められて、逃げようとした唇を追われて、また塞がれる。

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