政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
同族嫌悪なのか、それとも苦手なだけなのか。
壱都さんは温泉まんじゅうを返してくれないので、渋々諦めると壱都さんはホッとしたようだった。
私はそんな嫌な方だとは思ってないけど……

「壱都さん、朱加里さん。すみません。遅かったですか?」

温泉旅館まで樫村(かしむら)さんが迎えに来てくれた。

「いや、ちょうどよかった」

私の温泉土産を阻止するためか、そんなことを壱都さんは言った。
荷物を車に運び入れている壱都さんと樫村さんの目を盗み、ちゃっかり温泉まんじゅうを購入した。
これは後から白河のお祖父さんに渡す分。
温泉旅行にきたら、お土産を買うのも楽しみの一つ。
こっそりとトランクに紙袋をいれた。

「壱都さん。温泉はどうでした?」

「すごく楽しかったよ」

「ご機嫌でなによりです」

壱都さんがご機嫌なのが一番の樫村さんは自分のことのように喜んでいた。

「樫村さん、これどうぞ」

< 176 / 240 >

この作品をシェア

pagetop