政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
すぐそこなんだから、自分で取りに行けばいいのにと思わずにいられなかったけど、仕方ない。
相手は白河財閥のお坊っちゃんで断って波風をたてたくなかった。
お祖父さんの部屋にノックをし、中に入った。

「どうした?」

「壱都さんがハンカチを忘れたそうなんです」

「テーブルの上だろう」

「あっ!ありました」

お祖父さんは横になったままで、どうしてテーブルの上が見えたのだろうと不思議に思いながらもテーブルを見るとハンカチが置いてあった。

「早く持って行ってやれ」

「はい」

ハンカチを手にして、ぱたぱたと廊下を走って戻ったけれど、すでに壱都さんの姿はなかった。
町子さんがあら、と顔を出した。

「まだ車にいらっしゃるかもしれないよ」

人に用事を言いつけたのに帰るってどうなのよと思いながら、慌てて外まで出て追いかけた。

「あの!」

「きたか」

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