政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
まるで、私がハンカチを届けに追いかけてくるのをわかっていて、待っていたかのような口ぶりだった。
車に寄りかかり、胸の前に腕を組み、王子様というよりは王様のような態度。
しかも、さっきまでの爽やかな様子は皆無。
あなたは誰ですか?

「俺はこれから、海外支店に行って、しばらくは戻れない」

「そんなことを言ってましたね」

「君の婚約者として、選ばれたからには俺もそれなりの立場にならなければならない。俺が戻るまでに妻として相応しい教養を身に付けておくことだ」

「教養?婚約者?結婚!?」

なにその単語。
誰が誰と結婚するというのだろう。
結婚の話が出ていたのは紗耶香さんじゃないの?

「壱都さん。そろそろ、お時間が……」

車の中から、スーツを着た男の人が現れた。
やれやれと壱都さんは溜息を吐き、またあの胡散臭い笑みを浮かべた。

「忙しいのも困りものだね。ゆっくり話もできない」

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