政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
「会うつもりは―――いや、なんでもない」

壱都さんはなにか言いたそうな顔をして、それから黙った。

「あんなメール送ってくるから気になった」

「え?」

「明日、帰るって俺に教えるから会いたいのかと思った」

「そっ、そういう意味で送ったんじゃありません!」

「ふーん」

壱都さんは気に入らないという顔をしたけど、私はサッと目を逸らした。
この人の目は怖い。
全部、心の中まで見透かすような目をするから危険なのだ。

「まあ。いいか。せっかくだから、ロンドン観光でもしようか」

「仕事はいいんですか?」

「婚約者がわざわざ会いに来てくれたのに放っておけない」

「会いに来たわけじゃ……」

「なに?」

にっこりと壱都さんが微笑んだ。
有無を言わせないような笑み。

「い、いいえ……」

「じゃあ。行こうか」

「どこへですか?」

「そんな時間もないから近場かな」

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