政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
「俺だけじゃない。兄弟全員だ。祖父が井垣会長をライバル視していたからね。俺達孫を甘やかすことはしなかった」

「白河会長はお祖父さんと仲がよくないと聞きました」

「ああ。井垣会長は祖父の婚約者とイギリスに駆け落ちしたんだ」

「お祖父さんが駆け落ち?」

「そう。それで、ほとぼりが冷めた頃、イギリスから戻った井垣会長は貿易関係の仕事をして大成功。そこから、どんどん会社は大きくなった。英語の発音も綺麗でそれはもう重宝されたそうだよ」

つまり、白河会長はお祖父さんを見返すために子供や孫には厳しく教育し、甘えを許さなかったと―――確かに井垣の父や紗耶香さんに比べ、壱都さんはしっかりしていたし、会った時、大学を卒業したばかりだったはずなのに年齢よりずっと大人びた空気を感じていた。

「着いたよ」

「あ、はい……」

壱都さんが連れてきてくれたのは広い薔薇園だった。
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