政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
園内にはカフェがいくつか入り、自家製ケーキとコーヒーの店もある。
レンガ造りの建物の前にテラス席があり、そこでブルーベリー入りの大きなカップケーキとコーヒーを飲む家族連れや観光客の姿が見えた。
カフェを通り過ぎ、広がる薔薇園には何種類の薔薇があるのか、私が見たことのない薔薇がたくさんあった。

「薔薇は好き?」

「はい」

「よかった。ちょうど薔薇が見ごろだったから、どうかなと思ってた」

つる薔薇を這わせたアーチの下のベンチに座った。
甘い薔薇の香りが漂っていた。

「白河の家にも薔薇園がある。小さいけどね。本邸にある薔薇園の薔薇が見頃になったら一緒に見よう」

一緒に―――そう言われたら、うわべだけの婚約ではなく、本当に結婚するつもりなのかと錯覚しそうになる。
そんなはずないのに。

「他にどこか行きたいところはある?観覧車?クルーズ?」

「えっ、えっと」

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