政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
樫村さんの言った言葉を思い出していた。
無理しないでくださいよという樫村さんが言った言葉を。

「アフタヌーンティーがいいです」

「ああ、なるほどね」

これなら、壱都さんもゆっくり休める。
それにアフタヌーンティーなら、どこにでもあるから、そんな特別なものではない―――そう思っていた。
壱都さんは薔薇園を出ると、また車に乗り、私を連れてホテル前まで戻って来た。

「あ、あの。ここってさっきのホテルじゃ?」

私が壱都さんとやってきたのは例の高級ホテル。
青い制服を着た警備員さんが立っている。
もう入り口からして、威圧感がある。
その上、建物も伝統ありますっていう雰囲気で、さっき友人と通り過ぎた時は外観だけですごい建物ね、なんて思っていた場所。
まさか、ここに入るの⁉

「いつもここのホテルを利用しているから、使いやすい」

いつもって……感覚が違いすぎる。
私は言葉が出てこなかった。
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