天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「人間界で赤は、めでたい色なの!今日は私と紅蓮が正式に結ばれる日だから!格好良いわ!よく似合ってる!」
大袈裟に褒めると紅蓮は嬉しそうに声をあげて笑った。
「まったく。どこでそんな愛嬌を覚えたんだ?」
わしゃわしゃと髪を撫でる紅蓮。いつもだったら怒る白蘭も幸せに浸り抱き着く。
「早く紅蓮の奥さんになりたいんだもの」
「すでに妻だろう?」
「もう一回なるの!」
「わかったわかった!では正室になる際はふんだんに赤を使い、魔界中の者を招待しよう!歴史に残るような派手な婚姻になるだろう」
ちょっと調子に乗るとすぐにこれだ。限度ってものを知らない。
でも嬉しい。
「すぐに行くから待っててね!遅いとか言って先に帰ったら嫌いになるから」
「大丈夫だ…来るまできちんと待つから、ゆっくり話をつけてこい」
「…うん」
そして赤い衣をまとった紅蓮は家をでた。
白蘭はそんな紅蓮の後ろ姿を見送り同時にこれから現れる月影を待った。