天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
そういう白蘭に残念そうに羽をしまう紅蓮。
「二人の話合いが終わるまで、私はあの川辺で待っている」
あの川辺は二人の思い出の場だ。人の通りは少なく今の私達にとって待ち合わせをするのにピッタリだ。
「ええ…必ず向かうわ」
「ああ…信じている」
次の日の朝。今日は月影が帰ってくる。
紅蓮が朝早く家を出るのを白蘭は止めた。
「ちょっと待って!紅蓮、これ」
「これは…」
白蘭が渡したのは赤い色の衣だ。いつも黒い服の紅蓮に対して白蘭が密かに用意したものだった。
「紅蓮のそれは喪服の意味でしょ?実際、私は生きてたんだし…そろそろ明るい色の衣を着てほしいわ」
「それもそうだな」
納得した紅蓮は黒い衣を脱ぎ白蘭が用意した赤い衣に袖を通した。
黒い衣よりも生地の高級感は劣るが、紅蓮の凛々しい顔に赤はよく映えた。
やっぱり派手な服の方が似合うわ!