天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
ある日、紅蓮が何かに気づいたようだ。
「ん?」
「どうしたの?」
「結界の外に何か…」
「もしかして王都の衛兵?」
追いかけてきたのだろうか。あの時を思い出し動悸がした。
そんな白蘭の手を紅蓮は握り安心させた。
「いや。衛兵ではない。小さな訪問者だ」
「?」
結界を一部開けると小さな兎がこちらにやってきた。
「兎だわ。可愛い」
白蘭が兎を持ち上げようとしたところ、すばやく横に避けられた。
「まったく白蘭は相変わらずだな。兎月に触るなっ」
兎がしゃべったことに目を丸くした。