天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「兎月…月影の従者だな」
そう言うと兎は毛を逆立てて警戒した。
「…魔界の鳳凰。」
「兎月、何かあったのか?」
「…」
兎月は睨むばかりで何も言わなかった。紅蓮とは話をしたくないようだ。
そして白蘭に向き直ると言った。
「白蘭!明日、月影様が戻られる。月影様を悲しませないよう…鳳凰とは別れるんだな」
兎はそれだけ言うと怒ったようにピョンピョン跳ねて結界を出て行った。
…月影が帰ってくる。
「帰ってくるんだな」
「…紅蓮」
「何も心配することはない。月影と向き合い自分の気持ちを正直に話せば大丈夫だ。月影ならきっと白蘭の主張を受け入れてくれる」
「うん」
月影は善良だもの。私の幸せを願ってくれるはず。
そう白蘭は信じていた。